そもそもラクロスって何?

 ラクロスは、もともと北米先住民のスピリチュアルなゲームとして、肉体・精神の鍛錬や様々な神事を目的に行われていました。その際使用されていたスティックが、カトリック司教が持つ杖「lacrosse」に似ていたことからラクロスという名前が付いたと言われています。その後、19世紀頃から開拓者たちが始めたのが、現在のスポーツとしてのラクロスです。日本ラクロス協会の公式サイトによると、日本で初めてラクロスチームが作られたのは1986年。当時の慶應義塾大学の学生がラクロスを日本に持ち込み、徐々に普及したそうです。
 
 ラクロスの最大の特徴は、「クロス」と呼ばれる、棒の先に網が付いたスティックを使用することです。「クロス」ひとつあるだけで、ボールを投げる・キャッチする・すくう・運ぶ・奪うことができ、それらを駆使して相手のゴールを狙います。競技フィールドは約100m×55mで行われ、アイスホッケーと同様にゴールの裏もフィールドとして使うことができます。プレイヤーにはアタック(AT)、ディフェンス(DF)、ミッドフィールダー(MF、ミディとも呼ばれる)、などの役割分担があり、ゴールを守る選手はゴーリー(G)と呼ばれます。
 
 女子は25分ハーフ、12人対12人で行われます。女子ラクロスはミニスカートにポロシャツというファッショナブルな服装で、見た目も華やかです。女子は防具を身に付けないため、フィールダ―(ゴーリーを除くプレイヤー)は全員マウスピース着用が義務付けられており、任意ではあるがアイガードを装着している選手もいます。接触プレイが禁止されており、スピーディーな展開になることが多いです。
 

ラクロスの魅力と可能性


  ラクロスはいわゆるカレッジスポーツで、大学から始める人が大多数を占めています。実際に競技をやってきた感覚から言うと、95%以上が大学からのスタートだと思います。これは中学・高校の部活動などでラクロスを行う環境が整っていないのが大きな理由でしょう。

  その一方、ほとんどの者が大学から始めるということは、全員スタートラインが同じということでもあります。つまり自分のがんばり次第では、大学から競技を始めても日本代表になることも可能であり、そこがラクロスをやるうえでの最大の魅力でしょう。
 
 ラクロスのもうひとつのウリは、就職活動に有利に働くという要素があることです。昔から体育会の人材は就職に強いとされてきましたが、近年「ラクロス部」が企業から注目されているそうです。ラクロスは2013年10月の「週刊ダイヤモンド」の「人気業界に強い部活」ランキングでも、野球やサッカー、アメフトなどを抑えて1位になっているほどなのです。
 
 2014年5月28日に日経新聞電子版の学生向けコーナー「お悩み解決!就職探偵団」に掲載された記事「人事が欲しがる体育会系 意外な『就活最強』競技」で、その実態が紹介されています。
 
 なぜ数ある体育会の中でもラクロスなのか。記事はその理由について、「ラクロスは大学にスポーツ推薦枠がない」ことを挙げています。スポーツ推薦で入学する学生は学力が高いとはいえず、入学してからも勉強しない人が多いよう。推薦枠をもたないラクロスの選手は、一定の学力が保証されているというわけです。また、競技の歴史が浅いため監督がいるチームが少なく、大学リーグも学生が運営しています。そのためラクロス部出身者は、主体的に行動できる学生が多いそうです。
 
 経験上、基本的にコーチの招へいから練習試合のマッチング、試合の集客も学生が主体的に行います。そのため、選手一人ひとりに細かい役割がついていることが多いです。
 
 前述したとおり、ラクロスはまだ日本に上陸してから30年足らずしか経っていません。歴史はまだまだ浅いため、これから野球やサッカーのようなメジャースポーツになっていく可能性は十分にあります。大学に入って新しいスポーツを始めてみたいという人は、ラクロスを選択するのもいいかもしれません。
 
 毎年行われている各大学の新入生向けの合同合宿。ここでは、「Lacrosse makes friends」というテーマが掲げられています。ラクロスを通じて人と人のつながりが増え、そこからさらに多くの人にラクロスの魅力が広がっていってほしいという思いが込められているそうです。現段階ではラクロスはまだまだ知名度が低く、マイナースポーツという枠から脱却できていません。友達、家族がラクロスをやっているという方は、ぜひ試合会場に足を運んでみましょう。きっとラクロスのおもしろさがわかるはずです。


  引用元

      http://athlete-knowledge.jp/reports/244